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第16回 虫歯予防のシーラント処置

溝の汚れ除去しふさぐ

質 問
6歳になる息子の口の一番奥に、大人の歯が生えてきました。
歯磨きをしにくく、虫歯にならないか心配です。虫歯予防にシーラントという処置があると聞きましたが、どんな処置ですか。また、他にはどのような虫歯予防の方法がありますか。


回 答
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徳島県歯科医師会
太田 純
第16回 虫歯予防のシーラント処置
溝の汚れ除去しふさぐ

6歳児の奥歯が生えてきたということは、第一大臼歯という大人の歯ですね。第一大臼歯は、個人差がありますが、6 歳前後に生えてくるため「 6 歳臼歯」とも呼ばれています。また、この歯は「咬合(かみ合わせ)の鍵」と呼ばれるくらい重要な歯です。

しかし、生え始めの時期は、虫歯になりやすい飲食物を好む時期であり、歯磨きも自分で十分に行えません。このため、12歳ごろまでに半数以上の子どもが虫歯になるといわれています。また、生え始めの歯は硬さが不十分で、 酸に対する抵抗性が低いため、虫歯になりやすく、いったん虫歯になるとその進行が早いのです。

一般的に、他の歯を含めて虫歯になりやすい所は▽奥歯のかみ合わせの溝 ▽歯と歯の間 ▽歯と歯ぐきの境目といわれています。 中でも、歯のかみ合わせの面には非常に複雑で深い溝があり、親が丁寧に仕上げ磨きをしても、歯ブラシの毛先が 溝の奥まで届きにくい構造になっています。さらに奥歯は見えにくいため、なかなか歯磨きがきれいにできません。

いったん虫歯になってしまうと、表面の穴は小さくても 内部で、知らないうちに虫歯 がどんどん広がっていきます。

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虫歯になりやすい箇所

そうならないように、複雑な形の溝をふさいでおくのがシーラント処置で、虫歯予防の面から有効です。

シーラント処置は、溝の汚れをきれいに除去し、プラスチックのような材料を溝に流し込んで強い光で固めます。 歯を削らずに10分程度で終わるので、歯科治療を受けるのが苦手な子どもでも抵抗感があまりない処置です。

ただし、口を大きく開けられない子どもや、生え始めてすぐの歯で、処置をする溝が歯ぐきにかぶっている場合にはできないケースがあります。また、既に虫歯になっている歯はシーラント処置の対象外で、虫歯治療が必要です。 シーラント処置は、虫歯予防にある程度の効果を得られますが、これだけで十分というわけではありません。日ごろの正しい歯磨きや規則正しい食生活が特に重要です。

虫歯予防にはシーラント処置のほかに、フッ素を上手に使うこともお勧めです。フッ素は歯を硬く、強くする作用や、虫歯になりかけた箇所を再石灰化する作用、口の中の細菌の量を減らす作用もあります。

永久歯(大人の歯)は、唾液や飲食物の成分(カルシウム、リン、フッ素など)によって、徐々に硬くなっていき、安定した歯になるには5年ほどかかるといわれています。生え始めの永久歯はフッ素を取り込みやすく、虫歯予防には最適な時期といえます。歯科医院でのフッ素塗布以外に、家庭でのフッ素入り歯磨き粉やフッ素洗口液の使用も、虫歯予防に有効でしょう。

歯科医院での定期的な検診の際に、虫歯や歯磨きのチェックとともに、シーラント処置やフッ素塗布などの予防処置の相談してみましょう。家庭の虫歯予防には限界があるため、かかりつけの歯医者さんと一緒に、正しい歯磨き習慣や規則正しい食生活を身につけ、虫歯のない健康なお口にしましょう。