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第3回 学校の検診で「CO」

歯磨き・食生活の改善を

質 問
最近、狭心症の発作があり、循環科医院に通院していますが、歯周病が心臓病と関係があると聞きました。数年前、歯科医院で歯周病と言われ、定期的な受診を勧められたことがあるのですが、しれ以来、受診していないので気になっています。どのような関係があるのでしょうか。(50歳男性)


回 答
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徳島県歯制医師会
東山 祐陽
第2回 歯周病と心臓病の関係
細菌が血管狭める作用促進

学校歯科検診も終わり、既に、診断結果の通知をもらって帰ってきたお子さまも多いかと思います。ご質問の内容によると、お子さまは3年生であ ることから、1番奥の歯は第1大臼歯(いわゆる 6 歳臼歯)で、永久歯のかみ合わせの面の溝の部分が、むし歯になり始めていると判断されます。 「C O 」は「要観察歯」の ことです。現時点でむし歯と は断定できないものの、口腔内環境の悪い状態が続くと、治療が必要なむし歯になる可 能性が高い状態で、歯の表面が白斑、白濁、褐色斑などの 色変化として観察される(穴はあいていない)状態の歯をいいます。学校歯科保健における健康教育の観点から、1995年度より使用されている用語です。
COは、むし歯になる可能 性が高い半面、歯磨きの方法 や生活習慣を見直すことで口腔内環境が改善され、さらに、フッ化物の応用などが加わると、むし歯の進行停止や元の健康な状態に戻る(再石 灰化 )可能性もあります。
「むし歯H治療」ではなく、適切な指導を受けて実行すれば、むし歯であっても、元に戻るチャンスがあることを伝え、児童生徒が自分の健康を自らで維持管理しようとする力を育むことを目的としています。 むし歯ができるには、まず歯の表面に定着した細菌が、ショ糖(砂糖)を利用して粘着性の多糖を合成し、歯に強く付着して歯垢(デンタルプラーク)という細菌の塊を形成します。その歯垢の中に、さらに食物として取られた糖質が浸透し、歯垢内の細菌によって酸がつくられます。
そして 、口の中が臨界点( PH 5・4 )より酸性に傾くと、歯の表面が溶け始めます。これを脱灰といいます。 一時的に歯の表面が溶けても、唾液の自浄作用や歯磨きなどで口腔内環境が改善されると、元の健康な状態に戻り ます。これを再石灰化といいます。これには時間的要素が関わってきす。

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図のように、口の中では絶えず、脱灰と再石灰化を繰り返しています。糖質に触れる時聞が短いと、唾液の力だけでも酸の中和と 再石灰化が起こります。しかしながら、不規則に飲食を繰り返し、糖質に触れる時聞が長いと、口の中は酸性に傾いたまま、再石灰する機会がなく、むし歯が進行していきます。 このように、むし歯予防には、歯磨き習慣だけではなく、食生活の改善や、よくかんで唾液の分泌を促進するなどの必要があります。さらに、再石灰化を効果的に促進するためには、フッ化物配合の歯磨剤や洗口液の使用、歯科医院で定期的にフッ化物を塗布することもお勧めします。 学校歯科健診でCOが見つかった場合、健康診断のお知らせ文書では“経過観察”とされ、治療を勧告するもので はありません。しかしなが ら、むし歯へと発展するリスクの高い状態となっています。現状の維持や改善のため には、その児童生徒の生活環 境などに見合った予防法と継続的な管理を必要とします。 そのような手法を講じた上での“経過観察”であり、何もしないで現状の維持・改善はあり得ません。 まずは、養護教諭や学校歯科医に相談するといいでしょう。また、学校健諺はスクリーニングであり、精密な診査や確定藍削を行うものではありません。「経過観察」であっても、かかりつけの歯科医院を受診し、確定診断を得た上で、定期的な健康管理を行 うことも大切です。