東日本大震災

平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、多くの歯科医師が身元確認作業に従事しました。発災当初から、被災地の県警と協力して、被災者でもある地元の歯科医師が身元確認作業を開始しました。
また同時に、警察庁から日本歯科医師会への要請にもとづいて、全国の歯科医師会に出動をお願いしたところ、わずか数日間で1,100名を越える手挙げがありました。

その後は、当初の5ヶ月間で、延べ約2,600名の歯科医師が過酷な身元確認作業にあたり、約8,750体ものご遺体の歯科所見を採取、照合しました。
ただ、津波によって歯科医院のカルテやX線写真が流失したことなどにより、被災地の歯科医師会と警察を中心とした生前の歯科資料の収集と、収集したデータをパソコンへ入力する作業は困難を極めました。歯科医師がご遺体の口の中を丹念に検査できたとしても、生前の記録が確実かつ円滑に収集できないと、身元の特定に繋げることは難しいのです。

大規模災害時に歯科医師ができること

  1. 一次トリアージ
  2. 顎顔面領域の外傷に対する応急処置
  3. 歯科治療
  4. 口腔ケア
  5. こころのケア
  6. 身元確認作業・・・警察歯科

東日本大震災の身元確認作業出動した歯科医師数

 岩手県宮城県福島県合計数
全国から出動した歯科医師 延べ300人 延べ760人 延べ35人 延べ1,095人
被災県の歯科医師 延べ375人 延べ734人 3延べ395人 延べ1,504人
合計数 延べ675人 延べ1,494人 延べ430人 延べ2,599人

岩手県身元確認作業数、遺体搬入数

東日本大震災

死者
15,890人
行方不明者
2,590人
災害関連死
2,916人

岩 手 県

死者
4,673人
行方不明者
1,129人
災害関連死
417人

宮 城 県

死者
9,539人
行方不明者
1,253人
災害関連死
873人
岩手県身元確認作業数、遺体搬入数
東日本大震災における検死等済み死体の歯科情報を記録したデンタルチャートの件数等(警察庁調べ)
 検視等済み死体数左記死体のうち、
歯科情報を記録した
デンタルチャートの総数
身元確認数(全体)
岩手県 4,671人 2,690人 7578人
宮城県 9,522人 4,978人 9,375人
福島県 1,606人 1,051人 1,603人
合 計 15,799人 8,719人 15,528人
東日本大震災の身元確認作業における歯科所見の採取数(日歯調べ)
岩 手 県 約2,700人
宮 城 県 約5,000人
福 島 県 約1,050人
合 計 約8,750人

発災初期に必要となる歯科医師数は?

発災初期に必要となる歯科医師数は?