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第33回 たばこと歯周病

歯科で治療・管理してもらう

質 問
46歳の男性です。
学生時代からタバコを吸い始め、かれこれ25年ぐらいになります。タバコが体に悪いのはわかっているつもりですがヘビースモーカーで今でもなかなかやめられません。最近テレビを見ていますとタバコは歯周病にも悪いと言っていました。本当なのでしょうか。またどうしたらよいのでしょうか教えてください。


回 答
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徳島県歯科医師会
幸田 直彦
第33回 たばこと歯周病
歯科で治療・管理してもらう

歯周病とは、歯を支持している歯ぐき、結合組織、骨に起こる炎症を主要症状とする病気で、口の中の細菌による混合感染と考えられています。歯周病が進行すると歯がぐらぐらしてきて最後は歯が抜けてしまう病気です。

この原因は歯を磨かないと歯の周囲に付いてくるプラーク(歯垢)です。そのプラークのなかに歯周病むし歯の原因である細菌などの固まりができて歯のまわりの歯茎や骨を悪くするのです。

最近、歯周病が生活習慣病のひとつと数えられており、さらにその歯周病に「喫煙が関与している」と言われるようになっており、喫煙者は非喫煙者に比べ2~8倍の危険度で歯周病にかかりやすくなります。

簡単に言いますとタバコの煙の中のいくつかの有害物質が歯ぐきなどに作用して免疫抵抗力を低下させて歯周病にかかりやすくし、かかっている場合は症状をさらに悪化させてしまうのです。

タバコに含まれている有害物質は多くありますが、主にニコチン、タール、一酸化炭素が3大有害物質といわれています。ニコチンには強力な血管収縮作用があり、歯ぐきが炎症を起こしても出血が抑えられ歯周病の症状である出血が隠されてしまうため、歯周病が気づかないうちに重症化してしまいます。

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そして私たちが「ヤニ」と呼んでいるものがタールで、これが歯の着色の原因の主たる物です。そしてこの沈着が多くなると歯の表面をざらざらにしたりして歯周病の原因であるプラークがたまりやすくなります。またこのプラークを付いたままにしておくと歯石になり、いくら歯磨きをしても自分ではとれなくなります。

一酸化炭素はニコチンとともに身体の免疫担当細胞の活動を著しく低下させてしまいます。つまり歯周病と喫煙との関係は、まず喫煙によってにタールなどにより歯に汚れをつけやすくなり歯周病菌が歯や歯茎に付いたままになる。そのために歯周病にかかりやすくなったり症状が進行して重症になりやすいのです。重傷になりやすい理由としましては、歯周組織への攻撃を押さえようとする私たちの抵抗力が弱くなるのです。血液の中の好中球と呼ばれている物は歯周病菌が歯ぐきへの侵入を感知してそれを食べて殺菌する作用がありますがこの能力をタバコの煙が妨害してしまうのです。

解決策としては、禁煙することによって歯周組織は数週間で本来備わっていた免疫応答を回復するようになり、歯周治療によって1年後には歯ぐきは本来の健康な状態に回復します。歯ぐきの黒ずんだ外観も時間はかかりますが少しずつ本来の健康な歯ぐきの色にもどります。

タバコをやめれば歯周病などのリスクが著しく低下し生活の質の向上にとっても重要なポイントになります。歯周病予防と全身の健康のためにも喫煙者の方には禁煙にチャレンジして、健康な生活を送っていただきたいと願っています。また少しでも早く歯医者に行って治療、管理してもらうことが最も重要です。