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第24回 自転車で転倒し歯を損傷

治療で修復可能な例も

質 問
通勤途中に自転車で転倒し、歯を強く打ちました。
子どもたちもよく自転車に乗っているので、けがをしないか心配です。自転車事故で歯や口を打ったときは、どうしたらいいのですか。また、どのように治すのでしょうか。


回 答
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徳島県歯科医師会
阿部 昭人
第24回 自転車で転倒し歯を損傷
治療で修復可能な例も

通勤や通学、スポーツなどで自転車を愛用する人が多くなっています。それに伴い、転倒や突通事故でけがをする人も増えています。けがをした直後は動転し、痛みや出血などでショックを受けるのが普通です。まず落ち着いて、頭や目など他にも異常がないかを確認してください。歯が強い力を受けると ▽折れたり欠けたりする ▽位置がずれる ▽抜け落ちるーといったことがあります。歯が欠けたり折れたりしたときは、治療で修復できます。破折した歯や破片があると、元の位置にくっつけることができるケースもあります。折れた歯をなくしても、人工的に修復できます。

歯がグラグラ動いたり、位置がずれたりしているときは ▽歯茎の中で歯の根が折れている ▽抜けかけている(脱臼) ▽歯茎の骨(歯槽骨)が骨折しているなどが考えられます。できるだけ出血部分を押さえて止血しながら、抜け落ちないようにして歯科医院を受診してください。治療は歯、歯槽骨を元の位置に戻し、歯が動かないように連結して、細い金属線や繊維とプラスチックで2~6週間固定します。

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歯が抜け落ちたときは、永久歯は素早く元に植え直す(再植)と生着します。再植は脱落から早いほど、また脱落歯の保存状態が良いほど成功率が高くなります。口の中に抜けた歯がなければ、ティッシュかハンカチで出血部位を押さえて止血しながら抜け落ちた歯を探してください。

すぐに歯科医院を受診できるときは、抜け落ちた歯の土や砂、ほこりなどを無理に取ろうとせず、歯の頭の部分(ツルツルしている部分)を持って受診してください。夜間など、すぐに受診できないときは、歯をラップやビニールに包んで乾燥を防ぎましょう。牛乳や専用の保存液が良いですが、なければ唾液をつけて乾燥を防いでください。治療は脱落歯を元の位置に戻し、連結固定を行って生着を待ちます。 歯肉(歯茎)や口が切れたときは、唾液が混ざって歯肉や唇からの出血が多く見えがちですが、圧迫止血できます。顔や唇の腫れは冷やせば軽くできます。傷口に土や砂、アスファルトの粉などの異物が入っている場合は、早めの受診で除去することが必要です。傷口を縫合することもあります。

打った所は何ともなくても、顎骨や顎関節を骨折していることもあります。必ず歯科医院を受診してください。